新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

守る責任

5月21日号のInternationalにはリビアを巡る国際社会の「守る責任」についての論評があります。もともとは旧ユーゴ紛争、コソボなどを経て認識されるようになった問題で、機能している政府が何らかの理由でその市民を守れない、あるいは攻撃するような場合、国際社会は市民の安全を守ることができるという考え方です。同様のロジックでロシアはグルジアへの干渉を正当化し、サイクロン被害の出たミャンマーが国際支援を断った時にフランスは政府の対応を批判したということで、いわば両刃の剣ともなりうる性格の考え方だということなのですが、リビアにおいてはそれがさらに深化して、「カダフィをどうするか」に焦点が当たっているわけで、「守る責任」だけでは必ずしも十分に干渉を正当化できないことへの疑問が頭痛の種になっているということのようです。

実際、政府軍は狙撃兵を使って市民を狙撃させているので、「守る責任」が及ぶ範囲が広いことについて国際社会の理解はある程度得られているようですが、それだけで果たしてカダフィ排除を正当化できるものなのか、国連やNATOはやや苦しい説明を求められている状況かと思います。