新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

IT革命の限界

5月21日号のEconomic focusは、産業発展の歴史的プロセスになぞらえながら、インドをはじめとした南アジア諸国がITをテコに、農業⇒製造業⇒サービス業と発展してきた先進国とは違う道筋を歩もうとしている、ITによるサービス産業は、これらの国の経済発展において製造業を代替できるか?という興味深い記事が出ています。世銀などの学者が発表した文献を参照しています。

曰く、伝統的な労働集約的サービス産業とは異なり、インターネットの発達もあって、コールセンターやBPOなどは専門的で生産性の高いビジネスを輸出できると言う点において、確かに製造業を代替しうるかもしれないという議論なのですが、結論的にはそのような業務に従事できる人材は限られており(インド全体で数百万人、との推定)、やはり製造業を軸にしないと国全体の経済発展を進めるには不十分というお話しです。

教育がどれだけ高度化しても、マスを考えると全員がBPOの専門家になれるほどの知識を身につけられるわけでもなく、だとしたら製造業のほうが敷居は低いだろう、ということですが。

逆に言うと、そこまで国民のレベルを上げられれば、それが比較優位となってその国の経済を発展させるカギになる、ということではないかと思われます。潜在的な話ですが、日本の教育程度についてはそのような可能性があるのでは、と常々思っておりまして、あとは言語的なカベが問題だと思うのですが、IT技術の発展がこれを克服する日が来るのではないか、とも思っています。その時に、教育レベルの低下がボトルネックになっていないと良いのですが。