新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

外信報道に見るその質の違い

6月11日号のAmericasには、さきごろ行われた大統領選挙の決選投票で、ケイコ・フジモリ候補を僅差で破って当選したペルーのオジャンタ・ウマラ氏に関する論評が出ています。日本のメディアでもしばしば報道されたことから、ある程度の情報はこちらにも届いているもの、という理解で記事を読むと、実はなかなかそうでなかったことが判ります。

1)かつてベネズエラチャベス大統領をモデルとしていたウマラ候補は、今回ブラジルの改革を成功させたルラ・ダ・シルバ大統領の手法を取り入れ、既存の経済システムを生かした穏健な改革を主張したこと。それがゆえに幅広い支持を集めることに成功したこと

日本では「左派の〜」という枕詞がつくのが関の山だったウマラ候補ですが、その政策がどのようなものなのか、報道ではほとんど言及されなかったと思います。すなわち、ケイコ候補が勝つかどうか「のみ」が関心の的であった(最低限、報道がそう整理していた)と言うことかと思います。

2)トレド元大統領や、ノーベル賞作家のマリオ・バルガス・リョサ氏もウマラ候補を支持していたこと

決選投票まで行った選挙ですから、いずれも圧倒的な支持を集めたわけではなく、第一回投票ではかなり分散した票もあったわけですね。そのあたりがどう動いたのか、それはなぜなのか、日本の報道ではほとんど触れられなかった話ではないかと思います。

The Economistの読み解きは、一言で言って「中道回帰」または「穏健志向」が奏功したということなのですが、対比されたケイコ候補は保守だそうです(このあたりも日本の報道とはやや違うイメージでは?)。年率7%という高い経済成長の続くペルーにおいて、新政権がいずれの方向に舵を切るのか、ちょっと見ものだと思っています。