新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

哲学の支柱

6月18日号のBanyanは、孔子をはじめとする古代中国の思想をその哲学的支柱として、自らの立ち位置を説明しようとする中国政府の動きをしっかり皮肉る内容となっています。

成り上がった者が、あとづけで哲学や歴史にその拠り所を求めるという行動は、第二次大戦前の日本や安土桃山時代の豊臣政権を見るまでもなく歴史上あちこちで見られた行動だと思うのですが、考えてもみれば民主主義国家が作り上げた国際社会のシステムから最も裨益しているのは中国、お前じゃないのか?というのがThe Economistの結論です。だったら何も、ご大層に歴史や哲学による権威付けや違いの説明など、おこがましいんじゃないの?と言いたいらしいのですが、立ち位置の違いなのか、この結論にはだいぶ違和感を感じてしまいます。

国際社会が求めるものがフェアで透明なキャッチボールだとしたら、まず相手の言うことをしっかり受け止めることから始めても良さそうなものですが。そのうえで古代思想が現在の中国政府の対応をどれだけ正当なものだと説明できるのか、しっかり判断してやればよい話ではないかと思います。

そもそも、「批林批孔」は思想面で中共政府の最優先テーゼだったわけで、その中国がどの面下げて古代思想を喧伝しようとするのか、むしろしっかりと冷静に見てやるべきではないかと思います。

動乱の中、たまたま国権を握った山賊集団が後付けで共産主義を標榜し、結果的に資本主義で勢いを得て、ようやっと衣食足りて礼節を知る段階になったことに変わりはないわけで、如何に体面を糊塗しようとも、本質は変わらないんじゃないの、というのが大方の見方ではないかと思いますが。