新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

財政再建の方向性?

9月18日号のEconomic focusには、今日世界の先進国にとって共通の課題とも言える国家財政の危機と財政再建について、20世紀の経験値を参照することでややもすると手詰まりになりがちな議論への刺激を試みたものとなっています。

曰く、第二次大戦直後の10年間くらいの間、先進国は預金者をかなり厳重な統制の下に置いたこと(あれこれおカネを動かせない)に加えて、インフレが政府にとっての実質金利をマイナスにしたことが奏功し、たとえばイギリスではGDPの216%もあった債務が10年で138%まで縮小したことが例として挙げられています。

確かに今日、先進各国ではそのくらいのことをしないと財政再建は難しいのではないかと思わせる状況に陥っていると言うことかと思うのですが、日本の場合は借金のほとんどが自国でなされているという定説のせいか、深刻だと言われつつも真剣味が今一つ、という気がしてなりません。The Economistも、「政治家はといえばイージーな方法を探す(ばかりである)」と斬って捨てています。

また記事によると、第二次大戦後と比べて難しいのは、カネがあって更なる成長を模索する新興国の存在だとのこと。技術的に言えば、先進国の赤字補てんもできるくらいの勢いがあるわけで、自由主義経済の信奉者を標榜するThe Economistから言わせれば「そうすりゃいいじゃないか」的な意見が出てもおかしくないところですが、流石にそうは言わないですね。だとすると、どうやってこの危機に対応するのが良いのか、妙案はなさそうですが。