新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ニホン化現象?

ネットで流れている7月30日号の表紙は、浮世絵風のオバマ大統領とメルケル首相というデザインで、タイトルはTurning Japanese、すなわち日本のようになる、というものです。積み重なる債務や迫りくる経済危機と、それに対して有効な施策を打ち出せない政治家たちが繰り返すカッコ付けと先送り(procrastinated and postured)、それらがいみじくも日本の政治が繰り返してきた「数々のチャンスを逃す」(umpteen)ことにつながるのでは、という警鐘が記事の結論となっています。

数日前からネットで流れていたらしく、金曜日朝の割にコメントが多いです。大半は「たしかに問題だがではどうすればよいのか」という視点で現政権の在り方やシステムに問題点を見出すもの、アメリカの茶会党を名指しで合理的な解決の障壁となっていることを指摘するものと様々でしたが、あるいはすでにその失敗が歴史的事実と整理されているのか、日本を事例として参照したことに関するコメントはたった一件だけでした(インド系の方のようです)。曰く、債務は大きいといってもそのほとんどが国内債権者に対するものであることや、人口減少を加味すれば現在の経済運営はさほど悪くないことなどを挙げ、「アメリカやヨーロッパが日本のようになるのならむしろ万々歳なんじゃないの?」というご意見なのですが、震災・原発も絡んでいる現下、一見不条理とも思える円高は、それだけ米欧が危ないことの裏返し、と捉えることもできようかと思われます。

The Economistが言いたいと思われる「日本のようになっちゃいけない」は、政策決定者のスピードについてのものだと思うのですが、これだけ低迷していても、米欧に比べればまだマシという話は、日本人としては素直にうなずけない話かもしれませんが、どうやらそれが世界の現状らしいです。