新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

尻尾が犬を振る

8月6日号のEconomic focusには、明らかに逆転現象が進行している「先進国」と「新興国」の経済についての分析記事が載っています。この場合の先進国は、新メンバーの加入が続くOECDの、発足当時の国々を対象と考え、伝統的な意味合いを持たせた分析になっています。

それによると、世界のGDPシェアはここ数年のうちに逆転すること、携帯電話保有台数や外貨準備高では「新興国」がすでに大きく「先進国」を凌駕していること、しかしながら世界を支配する大企業の数や対外直接投資などの指標ではまだ「先進国」にかなわないことが見てとれます。

The Economistの分析によると、この差の大きな原因の一つが公的債務だそうで、その他にも人口構成や生産性の向上余地など、「新興国」の今後を約束する条件は多い、ということなのですが。

19世紀に活躍したマルサスという経済学者が、人口を維持するには食糧供給がボトルネックになるという理論を遺していますが、これだけ「新興国」が台頭してくると、食糧以外にも天然資源や地球環境など、限られた資源配分を巡ってさまざまな軋轢が生じる可能性も増大してくるような懸念を抱きます。

表題となったThe tail wags the dog、は直訳の意に加えて「本末転倒」あるいは「下剋上」というようなニュアンスもあるそうで、霧でドーバー海峡が封鎖されたとき、Continent isolated (大陸は孤立した)という新聞記事を書いたイギリスのメディアらしい視点だなあと思って読ませていただきました。