新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

システムの問題?

8月13日号のLexingtonは、アメリカとイギリスの政治システムの違いに注目し、アメリカの政治が直面する行き詰まりについて興味深い示唆を行っています。曰く、イギリスはアメリカに比べて与野党が話し合える機会が多く、政治的行き詰まりについて打開策を講じるための下地づくりがしやすいのではないかとのこと。

2年ごとに選挙で忙殺され、なかなかワシントンに居つけないアメリカの下院議員に比べてイギリスは議員の暮らしもじっくりと政治に取り組むために向いたロンドン中心の設計になっているのだそうです。与野党の意見交換も活発に行われ、アメリカのように民主党右派が共和党左派よりリベラルだ、というほどの政治的な差異はないことがその違いを生んでいるとの分析です。

ではアメリカがイギリスの真似をするのか?というと、どちらかというと自然発生的な歴史を持つイギリスの議会に対して、アメリカは理念に基づき人工的に設計された政治システムであり、自分たちのモデルのほうが進化していると思っているので、真似はしにくいのではとのご託宣です。

翻って日本はと言うと、民主党と自民党の落差は保革対立の時代に比べればほとんどなくなってきているに等しい状態ですし、選挙もそれほど頻繁にあるわけではありません。地元対策が重要なのはいずこも同じと考えれば、どちらかというとイギリスに近い状態のはずなのに、この体たらく。どうやら「システムの問題ではない」という批判が該当するのは、なにも負けたサッカーチームだけではない、ということのようです。