新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

所得の再分配について

8月13日号のEconomic focusは、低所得層に対する所得の再分配について興味深い分析をしています。曰く、移民の少ない国であればあるほど税金を通じた所得再分配に寛容である、というのです。参照されている例としては北欧諸国がそうなのですが、高税率・高福祉のこれらの国々に比べてアメリカなど移民の多い国(イギリスやフランスもそうかもしれません)ではこのようなシステムは受け入れられない、というのです。

日本はと言えば、属性的にはあきらかに「移民の少ない」国だと思うのですが、必ずしも「高税率・高福祉」といった理念を以て設計された税制を運用しているわけではないと思います。それでも、たとえば震災復旧に増税もやむなしと考える人が多いなど、税金を通じた所得再分配について国民は決して否定的ではないのだろうと思います。であればこそなおのこと、どのような理念を以てそれを行おうとするのか等、政治家には高い次元での議論をこそ求めたいと思うわけで。やれ選挙がどうしただの安易な増税は国民の支持を得られない云々の低次元の話ではなく、もう少し納得的な議論をできないものかと、こんな記事を読んでいてもついつい思ってしまうのは、日本のメディアが税に関して伝える政治家の姿勢とThe Economistが解くところの所得の再分配に関する分析との間に明らかなギャップを感じるからであろうと、個人的にはそう分析しています。