新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

大連の化学工場を移転させたもの

8月20日号のAsiaは、このところそういう週が多いのですが、中国関連記事オンパレードという感じです。中でも特に目を引いたのは、インターネットや携帯メールが発端となって発生した市民デモをきっかけに移転が決まったと言う大連の化学工場に関するニュースで、これは日本のメディアでも大きく報じられたところと思います。

デモ自体は、イギリスの暴動などとは違い、非常に整然としたものだったようですが、自然発生的にそれだけのものが起きたと言うことは体制側にとって脅威だったらしく、結果的に工場の移転が発表されたわけですが、日本の報道は多くがここで止まっていたのではないかと思います。

日本の報道と、ここが違うなと思わせるのは、国内で同様の工場がどのような状況に陥ったかまで報道するThe Economistのしつこさなのですが、アモイにも似たような工場が建設されるプロジェクトがあり、数万人にも上る市民デモが起きた結果、当局は計画の見直しと工場の移転を強いられた、というのです。

今から考えれば新幹線事故がターニングポイントであったように思うのですが、中国の明日を思いもつかない方向へと導くことになるかもしれない確かな「力」が少しずつ勢いを増しているような気がします。だれにも止められないこの力は果たして正しい方向へものごとを推し進めるのでしょうか?

アラブの春で先行したエジプトやチュニジアは、その後混乱や停滞に陥っていると聞きます。そう簡単に中国で体制の転換が起きるとは思えないのですが、仮に同じことが起きた場合の混乱や停滞がどれほど大きいかを考えると、なんだかわきの下にうすら寒いものを感じてしまいます。