新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

フルーガル・エンジニアリングとは

8月20日号のBusinessには、「そう言えば、あれ、どうなった?」と思わず聞いてしまいそうなインドの国産車「タタ・ナノ」の近況についての論評記事が出ています。一時期鳴り物入りで市場投入された2000ドルカーは、その後どうなっているのでしょうか?

結論から言えば、生産能力が受注規模に追いつかないことや、相次ぐ故障の発生と対応などを通じた初期マーケティングに失敗したことが祟り、今に至るまで市場の期待に応えられていないというのが現状だと言うことなのですが、その反面不要な機能を取り払い、徹底的にコストを切り下げる手法(The Economistはこれをfrugal engineering:質素な設計、と呼んでいます)が確かに成立することを、時間をかけて証明しつつある、というのが記事の分析です。

ルノー日産グループも、旧東欧で類似の発想に基づく新車を出したようですが、新興市場へのアプローチとしては理にかなったやり方だと思います。多少厳しいことを言うと、いわゆるヴァリューエンジニアリング(VE)の考え方と何ら変わるところはなく、それをインドという市場の特殊性にしっかり当てはめただけ、とも取れますが、じゃあこれまでに他の誰がそれをやったの?と言われると確かにタタが先鞭をつけたことには間違いありません。商売は何でもそうかもしれませんが、先にやったもん勝ち、だということですかね。