新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

長く遠い雇用への道

9月10日号のLeaders、トップは米欧社会を覆う失業の影についての話です。
先ず第一に、その規模の大きさと深刻さについて。スペインの失業率21%は言うに及ばず、アメリカ全土でも25百万人ほどの失業者+思ったほど働けない人がいて、それはテキサス州の人口とほぼ同じ、という水準だそうです。

左寄りの人は「政府は何をしているんだ、もっと対策を。」と言い、右寄りの人は「大きな政府こそ失業を増やす」と言う。その対立もあってか政府の腰はなかなか定まらない。で、結果として対策は遅れかつ不十分なもののままで推移するという悪循環を断ち切れずにいるわけですね。

実は日本もこれに近いものがあるのではないかと思うのですが、財政規律健全化を志向するとの方向性をはっきりさせることで、政府にできることとできないことが仕訳され、知恵の出し所が見えてくる、という現政権のシナリオはそれなりに説得力をもつものだと思います。日本の場合、震災と原発が優先されるという特殊な状況のため、必ずしもこれに全精力を使えない事情はありますが。

米欧について言うと、政府がそれをしっかりと認識し、政策の効果が出始めるまでに随分と時間がかかるであろうこと、その間にもさらなる犠牲が強いられるというThe Economistの指摘は、多分現実化するんでしょうね、今の調子だと。なんとも困ったものです。