新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

アメリカは、こうすべきだという意見

ネットでは9月24日号が流れています。

さて、まず巻頭のLeadersですが、アメリカを中心とした先進国の税制改革に関する議論、先進国対新興国の違いが際立つ世界経済、パレスチナの国連加盟問題とアメリカの反対、イギリス労働党党首に望まれるリーダーシップ、アメリカの台湾に対する武器売却問題という内容です。5本のうち3本は明らかに、そして世界経済の話も含めればなんと4本がアメリカがらみの記事なのですが、The Economistの真骨頂だとおもうのが、そのいずれもが濃淡はあれ「アメリカは、こうすべきだ」という意見記事になっていて、旗織鮮明にその立場をあきらかにしている点だと思います。

税制改革は、フローよりストックへの課税を望ましいと考えること(ただし、影響力を持っているのはストックを持つ人たちなので、実際の変化は言うほど簡単ではない)、パレスチナは国連への加盟を妨げられるべきでないこと、台湾への武器売却問題は進められるべきこと、がその主張です。日本のメディアにもこのくらいの話を言うところはあるにはあるのかもしれませんが、どうも日本では税制について国際的な議論というものを目にしたことがなく、パレスチナ問題についても和平志向のみが上滑りするばかりで将棋差しが先を読むがごとき洞察にかけ、なかんずく台湾に対する武器売却問題がどれだけ防衛に役立っているかを表だって支持するメディアは本当に限られると思うのです。

イギリスあたりのメディアが何を言ったところで所詮、というようなあきらめとThe Economistの論調は無縁です。そこに覗えるのは、自分がやらずに誰がやる、と言わんばかりの使命感と歴史あるメディアとしての矜持ですね。

メディアを育てるのは読者、というコトバを聞いたことがあります。その意味ではまた今週も、読者コメントを含めて通覧することでThe Economistの論調について考え、発信する時間をできるだけ持ちたいとおもっています。