新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

大学教育の質とコスト

12月10日号のSchumpeterは、昨今何かと批判の多いアメリカの大学教育とそれにかかるコストの話が出ています。なんでも12月5日にオバマ大統領が全米の大学から選ばれた学長さんをホワイトハウスに招いて、直々にこの問題についての話をしたのだそうですが。

ウォールストリートを占拠したデモ隊の中にも、大学へ行くために多額のローンを組んだものの、その後就職がなくローンを払えなくなったと言う元学生がいたようですし、何週間か前もブログでハーバード大学ビジネススクールは年間8万ドルだかの授業料が要るという話を書いた記憶がありますが、確かにアメリカ人にとって、大学そして大学院教育はかなりお高い投資になってしまっているようです。日本の場合、ある程度の私立大学でも授業料とすれば年間150万円くらいが関の山ではないかと思うのですが(一時期騒がれた医大などは除外)、アメリカの場合、州立大学でもちょっと有名なところは州内の学生と州外の学生で授業料に差をつけて、州外扱いだと結構高かったりするようです。

今回のThe Economistの記事は、授業料そのものというよりも、大学が社会に対して果たす役割やその存在意義について疑問をなげかけているようです。何でも100年ほど前にも高い授業料と社会からの乖離について似たような話があったらしく、当時ハーバード大学の学長だったローレンス・ローウェルは「大学は、(他人に)殺されるのではなく、有益さを失ったり社会が求める仕事ができなくなったときに自死するのである」と言ったそうですが、高い授業料を払った卒業生が就職できずにデモに出る、なんていう状況はまさにこれに当たると言えるのではないでしょうか。アメリカの大学で一時期学んだもののはしくれとして、是非大学の復活を望みたいところです。