新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

イランとシリアとロシアと中国

今日はPrint editionからちょっと離れて、Web版のトップにあるシリア関係の記事から少し深掘りしてみました。
1) シリアについてThe Economistが最も関心を抱くのは?
シリアについての視点ですから、無論第一義はシリアそして中東の民主化運動についてだろう、と思うのですが、案外激しい調子でその批判が向けられているのは国連安保理におけるロシアとそして中国による拒否権の行使について、ですね。もしもこれがアングロサクソン特有の根に持つ神経を刺激したとすれば、中国は結構いやらしいカードを引いたと言えるのかもしれません。
2)なぜロシア(と中国)はシリアをかばう?
大国主義、ロシアの軍港、権威主義の擁護等、それなりの理由づけは語られていますが、やはり国境を越えた民主化のうねりにクサビを打ち込みたいという焦りにも似た気持ちはあるのではないかと思われます。
3)シリア問題がこじれると
イラン(こちらも、特に中国にとっては大事な国)への圧力が手薄になる、でなければ何らかの取引材料化するというような観測も出て来うる状態ではと思います。イランからすればラッキーかもしれませんし、イランがラッキーと思うことはイスラエルの強行派にとっても望むところだったりするかもしれないのがいやらしいですね。
4)全体感
イランとシリアはイスラムでも教義が違うとかで、歴史的には必ずしも近い関係ではなかったようですが、敵の敵は味方、という考え方からか、ある程度の親和性はあるようですね。イスラエルとの軋轢でいうと、イランもそうですが距離的に言ってシリアのほうが本来であれば危機感は強いのかな、と思われます。で、イスラエルの暴発を予防しつつ、民主化勢力にはエールを送りたいというのがアメリカの本音ではないかと。イスラエル問題については中露とも同様のスタンスだろうと思うのですが、そう見て行くとやはり「民主化のエネルギー」が本質的には最大のポイントになってくるような気がします。