新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

智恵と年齢

4月7日号のScience and technologyには、アメリカと日本で行われたと言う興味深い調査についての記事が出ています。読者コメントも数多く寄せられているその記事はと言うと、社会生活における智恵を身に着けるのは、アメリカ人の場合年齢が進むにつれて、という傾向が見てとれるのだそうですが、日本人の場合は若いころから他人と接したり社会を尊重したりと言う、立ち居振る舞いの「智恵」が比較的しっかりと身についていて、年齢が進んでもさほど変化がないという傾向が確認されたのだとか。

社会に対して個人がどうふるまうか、について考えるとき、両国の間でより個人主義的だとされるアメリカよりも、より集団的とされる日本のほうが個人の立ち居振る舞いについてしっかりしている、という分析は、日本人で多少なりともアメリカ的な立ち居振る舞いを見たことのある人から見ればごく当たり前に見えることかもしれませんが、多くのコメントに見受けられる読者の反応は、すくなくとも「当たり前」ではなかったようです。曰く、「アメリカ人は皆、一から経験して覚える」「アメリカのほうが創造的になる」から「IQの違いが原因だ」「点数が低いのは共和党と茶会のおかげだ(?)」など、まさに百家争鳴状態です。

日本人としては多少なりとも、世界に評価される規範や事例を提供していると考えれば、悪くない話だとは思うのですが、できればそこから一歩踏み込んで、どうすればそうできるのかというような手ほどきめいたことまで提供できるとさらに素晴らしい、ということではないかと思いつつ、その反面で若いころから老成しているとも解釈できる点については、日本がエネルギーを失いつつあるようなイメージもあって、手放しで喜べる話ではないという気もしています。ま、ざっくり言えば彼我の差という考えに収まるはなしではありますが。