新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

デジタルの、意外な弱点

4月28日号のInernationalには、デジタルデータによる史料保存が一般化することで生じる意外な弱点についての興味深い記事が出ています。すなわち、デジタルデータは再生のための機材やソフトがないと何の役にも立たず、それら技術が陳腐化し、捨て去られることで、データは何の役にも立たなくなる、と言うお話です。

たしかに、VHSビデオテープは家にたくさんあるのですが、メインにつかっているビデオデッキにVHS再生スロットはついていません。かつての8mmビデオ(アナログ)を再生するために、使わなくなった8mmビデオカメラも捨てられずにいます。同じことが、史料保存やさまざまなデータ管理にも起きている、ということですね。

そう考えれば、文字として印刷されたものの方が歴史的保存には向いているとも言えます。元来、史料として扱われてきたのは古文書だったり、石碑だったりしたわけで、保存する側にもこれらデータを扱うノウハウのほうが、デジタルデータを扱うことに関するものより豊富に蓄積されているのではないかとも思えますし(ホントはどうなんでしょうね)。

インターネットを活用したアーカイブの構築や、データ解読のための古いソフトを集めたウェブサイトなども整備されてきているようですが、版権の問題などもあり、必ずしも順調に進んでいるわけではないようです。そう考えると、デジタルだから劣化しないという利点も、実用面では必ずしも額面通りに受け取れる長所とは言えないことが判ります。企業などでも、使われなくなったソフトで作成した過去の予算資料(マルチプランとか、ロータス123とか)や、5インチフロッピーディスクにしか保存されていないデータが意外と残っているのではないでしょうか。現在使っているPCにはこれらのソフトやメディアは適合しないわけで、何かの時にはどうやって再生するの?というわけですね。