新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

もう、それともまだ?

5月12日号のLexingtonは、大統領選挙を控えたアメリカの国民が自国の現状をどのように意識しているかについての調査結果に基づいて、アメリカの現状をどう評価するか、興味深い分析をしてくれています。

まず、今のアメリカに満足していると言う人は、最近の調査では28%程度だそうで、7割の国民が何らかの不満を持っているとのことですが、これは日本も似たようなものではないかと思います。特に似ているなあと思ったのは、不況の前にありつけた仕事より、最近の仕事のほうが明らかに給料が下がっていると感じている人が多いことで、それだけ見ればアメリカもデフレ?とすら勘違いしてしまいそうな話です。

だとするとアメリカはどんどん悪くなりつつあるのか?という疑問については、The Economistは意外と懐疑的で、先端技術・エネルギー・高等教育などの分野で他の追随を許さない競争力があり、経済全体としては上向きという側面もあるためだと思うのですが、まだまだこんなもんじゃない、というのがその主張です。

確かに、明快な比較は避けていますがたとえばヨーロッパに比べると、もしくは比べる意味が小さいかもしれませんが日本に比べると、どうしたって経済は堅調に見えて、その分オバマ大統領の再選は堅いのではないかと思えて、サルコジ大統領が負けたフランスに代表されるように、緊縮財政があまりにも不評なヨーロッパとは明らかに違うよね、という相対比較は成り立ちそうに思えます。

経済はデフレ、政治はマヒ状態、財政収支は悪化の一途、さらに原発問題については生活者の意見ばかりが強く、産業適地としての競争力をさらに弱められようとしている日本と比べると、まだまだアメリカには頑張ってもらわないと困る、というような話なのかなと思います。だとすると日本にとってはアメリカ追従という、慣れたポジションに軸足を決めやすい状況になったと言えるのではないでしょうか。