新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

欧州中銀の、悩み深い立場

6月23日号のFinance and economicsには、金融政策を巡る対応が鈍くなりつつある欧州中銀と、量的緩和政策を続ける米連邦準備制度理事会という二つの大きな中央銀行の対応についてそれぞれ別の記事が出ています。
欧州中銀は、雑駁に言えば経済建て直しが必要な南欧と、引き締めを進めたい中・西欧の両方を満足させる金融政策という難しいパズルに直面していることから、経済危機対応の能力は欧州安定化メカニズムなどに比べてはるかに大きいのですが、明快なアクションは大変取りづらい立場に置かれている、と言うことだと思います。
確かに平均値にならして考えれば、圧倒的な存在感を持つドイツ経済を軸に今後の方向性は決められてゆくのでしょうが、だとすると南欧はどうなるのか。ドイツへの移民輸出基地と化すのか、シェンゲン条約の優位性を活用した出稼ぎ労働者が北を目指し、その分圏外から先行して移民してきたトルコやマグレブ出身の移民との軋轢が生じるのか。アメリカの場合、フロンティアは西へと比較的スムースに移動して行ったわけですが、まさか欧州に居る色の浅黒い人たちが、開拓時代のアメリカインディアンの役割を演じさせられるようなことにはならないと思うのですが。

残念ながら記事の中にもこれという解決策のヒントは見当たりません。アメリカほど人の移動が簡単でないヨーロッパですから、たとえば中銀に地域割のプログラムを主管させ、各プログラム間の調整を優先させた責任の取らせ方をするとか、そんなイメージで考えて行くと言うことなんですかね、解決策は。