新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

米大統領選、加速

またまた少し間が空いてしまいました。

ネットでは7月28日号が流れています。leadersのトップはいよいよ11月に近づいた米大統領選の争点について。
オバマ大統領が公的な仕事の経験ばかりで、「大きな政府」を厭わないのに対して、金融事業で財をなしたロムニー氏は「小さな政府」志向と、経済政策における明快な対立軸の存在が、基本的にはこの選挙を見ごたえのあるものにするはず、、、だったのですが、肝心の有権者に見られる政治的な質の低下は、The Economistならずとも懸念を抱くものであろうと思います。反動政策以外は何でも反対の保守派と、改革から遠ざかるばかりのリベラル派。特に保守系の頑迷固陋さは、「アラブの春」や「原発反対」に代表される、いわゆる市民の声という放言的主張と良い勝負です。

それでも、明快な対立軸を持ちながら展開される選挙はそれなりに見ごたえのあるものになるはずで、痛んだアメリカ経済を下支えするのは政府しかないというオバマ大統領の主張が認められるのか、アメリカがアメリカであることを大事にしたいなら、政府に頼るべきではない(だとすると立ち直りへの道のりは厳しいものになる?)とするロムニー氏。

やがて実施されるであろう日本の総選挙において、ここまで明快な線引きはありうるのか?と考えると、どうにも頼りなさが先に立ちます。現在ですら自民党・民主党のいずれもが消費税増税に加えて「脱原発」「尖閣諸島防衛」「オスプレイの沖縄配備支持」を唱え、政策の違いから民主党と袂を分かっておきながら小沢新党は音なしの構えなど、政策的・言論的対立は日本の政治にはありえないのかと錯覚してしまうくらいにショボい議論しか存在していない状況なのですから。

塩野七生が「ローマ人の物語」で書いていましたが、「衰亡期にあっても、国家に人材が輩出しないということはない。ただ輩出した人材を国家が活用しなくなるのである。」と言う話について、今の日本を見ていると、彼女の分析はもしかしたら当てはまらないのではないかと、そんな風にすら思ってしまいます。