新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

インドと電力とインフラと

8月4日号のAsiaには、先ごろインドで発生した大規模停電により明らかになった同国の電力事情と、そしてインフラそのものを巡る大きな矛盾についての記事が出ています。
なんでも7月31日のこと、突如発生した大規模停電により地下鉄が止まってしまい、乗客は歩いて非難しなくてはならなかったのだそうですが、政府は「停電は何も新しいことではない」と開き直り、直後の内閣改造で電力担当大臣が内務大臣に昇進するというおまけまでついて、彼の国の抱える根源的な問題の一端を覗わせたのだそうで。

そういう目でインドの電力事情を見ると、?貧弱な発電設備、?東部産炭地と西部消費地の距離的ハンディ、?脆弱な石炭輸送インフラ、?急速なIT化に象徴される旺盛な電力需要、?政治家の人気取りによる低い売電価格、?圧倒的に多い盗電(勝手に電気を引いておカネを払わない)など、安定的な電力供給が出来るほうがおかしいと言わんばかりの現状となっています。

とても不思議なのは、優秀な人間はとても優秀なインドにおいて、なぜこのような問題が発生するのか、ということです。個人的にはこれまで何度もインドに出張した経験から言うとおそらく電力だけではない、もしかするとインフラ一般について言えることではないかと思うのです。そう言う視点で見ると、インドだけではない、多くは途上国ですが、インフラ経営が得意でない国は実はたくさんあるわけで。それらの国が、なぜ先進国と違うのか、どうしてインフラ経営が、もっというとインフラ経営だけが、おいてけぼりになってしまうのか。夏休みの頭の体操には良いトピックかもしれません。