新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ユーロ解体へのロードマップ

8月11日号前半のBriefingは、すでに現状維持が極めて難しくなったと考えられる統一通貨ユーロの今後について、ドイツのメルケル首相に宛てた手紙の形を取って語られています。それによると、どう頑張ってもギリシャを始めとする重債務国をユーロ内に留めておくのは無理があると言う分析がなされており、問題はギリシャの離脱に止まるのか、それとも他の重債務国まで含めた議論にすべきなのかというところですが、The Economistはポルトガル・アイルランド・スペインそしてキプロスを合わせた五カ国を一度に分離する案を支持しています。そうでもしないとユーロ救済のためにドイツを中心とする債権国の負担が大きくなりすぎると言うこと、また五カ国とはいえその離脱にかかるコストは膨大なものになり、それはそれで一つの大きな仕事になるのですが、結局のところ通貨切り下げによる競争力の回復が見込めるため、長期的に見た利得は、ユーロ救済が成功した場合に比べても十分な妥当性がある、ということだそうです。

実際問題として、如何にドイツが経済的に好調だったとしても、これらいくつかの新規投資機会に対して強い興味を打ち出してくるほど好調というわけではなく、反面でユーロ救済問題は待ったなしの瀬戸際にある、と言ったあたりがこの問題をして難しくしているという気はしますね。読者コメントには、たとえば喧伝されるユーロ解体が現実味を帯びる可能性はスコットランド独立よりも少ないのでは、との指摘もありますが、傍から見ていると、やはり何らかの抜本的対応を打ち出さないと状況の改善は難しいところまで来ているのではないかという気がします。5カ国分離、それがさしあたりの案ということですかね。