新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ASEANのひびわれ

8月18日号のAsiaには、南沙諸島西沙諸島を巡る中国との対立への懸念を共同声明に織り込めなかったASEAN内部の確執とその限界についての記事が出ています。インドネシア・フィリピン・ブルネイそしておそらくはベトナムあたりが主張した文書による懸念の表明に賛成しなかったのは議長国であるカンボジアであることは日本のメディアでも伝えられていたと思うのですが、同様にラオスやミャンマーも消極的だったと記事は伝えています。

これらの国々の一部で何度か仕事をした経験に基づいて言えば、中国というか、中国人および中国経済の食い込み方は通常の日本人の想像を絶するくらいに広く深いものがあるということですね。むろんそればかりではなく、政治的な判断による賛成・反対もあると思うので、単純に割り切れる話ではないわけですが、特にカンボジアについてはカンボジア人自身が中国との距離を大変近いものと認識しているところがあり、日本が経済協力や投資を通じて培ってきた関係など全く比べ物にならない深いつながりがあると言うことです。

かつて日本が国連の常任理事国入りを目指したとき、意外にもASEAN諸国からの支持が得られず苦い思いをしたという出来事がありましたが、またぞろそのあたりの縛りが作用しているということなのでしょう。ご近所づきあいの中で守るべき権益をしっかり守ること、は意外と骨の折れる話だということですね。