新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

過熱

9月22日号の表紙は、これしかないと言う感じで尖閣諸島の写真が出ていて、「アジアはこれで戦争になるのか?」という副題がついています。
尖閣諸島や南アジアを巡る中国の独善的な態度を、The Economistは「100年前のナチを見るようだ」と評していますが、その感覚はThe Economistならずとも、多くのアジア諸国が共有するものではないかと思います。
世界的に関心を引くこの記事に関する読者コメントは今日現在で1200件を超えており、中国びいきの(おそらくは中国系移民の子孫と思われる)コメントの多くには概ね常軌を逸した過激なコトバが使われ、日本人または日本人のサポートをしてくれているコメントは、一部に「売り言葉に買い言葉」になっている例も見受けられますが、大半は法的な正当性を訴えるものであるように覗えます(流石に全てのコメントを読んでいる時間はありませんでした)。

これらの議論を通じてだんだん明らかになってきた中国人の言い分は、「第二次大戦後の整理において、中国はまだまともに意見を言える状態になかった。それをアメリカ主導で決められた事は不当である。」というもののようです。

「じゃあどうすれば良いのか?」と言われたときに、おそらく彼らにはこの考えが自らの溜飲を下げること以外にどんな反響につながるのか、想像力が及ばないのではないかと思われます。

The Economistもその結論で「壊れやすい不信の構造へと突き進むのではなく、平和的な隆盛へと向かうほうが中国にとってどれだけ良いことか」と結んでいますが、周囲と自らの関係を客観的に規定できないことが、周囲を含めてどれだけの不利益につながっているのか、判らないひとには判らないという悲劇を、私たちはしばらくの間共有しなくてはいけないということのようです。