新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

デジタル機器はモバイルに?

10月27日号のBusinessには、マイクロソフトが新たに発売したWindows8を巡る観測記事が出ています。興味深かったのは、パソコン、タブレット、スマホのそれぞれの分野で「勝ち組」が鮮明になってきていること、でしょうか。先ずパソコン分野ですが、これは相変わらずマイクロソフトの圧勝と言う状況が続くと予想される中、2016年にはアップルが現在の3倍くらいのシェアを取る(それでも全体の10%内外)であろうと見られているようです。他方で、タブレットは現状ではアップルが飛びぬけているところ、2016年にはマイクロソフトやグーグルもある程度のシェアを取ると見られていること、そしてスマホは現在でもグーグルがシェアトップを占めている中、2016年段階でアップルとマイクロソフトが多少挽回する、というような予測になっています。個人的には、アップルのスマホ市場での挽回はあるのかもしれないけれど、マイクロソフトがシェアを取ると言う絵姿は今ひとつピンとこないものを感じますが。

The Economistの予想によると、デジタル機器は「机のそばにあるもの」から「モバイル主体」に変わってゆくだろう、ということなのですが、現象的にはデスクトップが無くなってタブレットにとって代わられるというよりは、デスクトップも存在し続けながらタブレットやその他モバイルのデバイス(と言うよりはソフト、もしくはサービス)が隙間を埋めて行くであろう、というイメージなのではないかと思われます。

その場合、異なる機器の間でOSがどれだけ互換性を持つかというあたりもサービスの連続性を考える上で重要なポイントらしいのですが、この記事はアップルのOSはパソコンとスマホとタブレットでそれぞれ異なるため、そのあたりの優位性はマイクロソフトにあるのではないかと言うトーンの記述になっています。かつてデジタルエクイップメント社が、大型コンピュータも小型機も、同じOSで動くことを売りにしていたことがありましたが、さほどユーザーの関心を引かなかった(ユーザーは、使うものだけを使う)ということもありました。

はたしてWindows8は、このような新しい流れを形作るきっかけになるのか?という問いかけに対して、まだ映像や本の広告を見たくらいですが、「ハードがついて来れていない」ことへの懸念を禁じざるを得ません。タッチスクリーンなのに重たいキーボードがついている、もしくはキーボードを軽くしたがためにキー入力の快適さが犠牲にされている、といった中途半端な機械が目立つからです。取り外しできるスクリーンは、何年も使ううちに接続部分に負荷がかかって故障の原因にもなるでしょうし、タッチスクリーンによる入力がキーボードの快適さを超える日が来るとはなかなか思えないのが商品を見た感想です。少なくとも、iPhoneiPadを初めて見たときの完成度に関する衝撃はほとんどなかったと言ってよいと思います。マイクロソフト流の、ハード・ソフト分業体制による開発が、商品コンセプトの成熟過程を難しいものにしているように感じたのですが、皆さんはいかがでしょうか。