新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

油景気に沸くアメリカ?

11月17日号のLeadersを見ています。
トップはユーロ危機とフランス経済について、その他にはアメリカの税制について、BBCスキャンダルについて、中国の新政権について、アメリカとシェールガスシェールオイル開発についてといったラインナップですが、経済の面から影響が大きいと思われるのはやはりシェールガスシェールオイルによってアメリカが世界最大の産油国になるだろうとするIEAの予測に関する記事ですね。それによると、たとえばカナダのアルバータ州ひとつで全米のシェールガスシェールオイル埋蔵量に匹敵する埋蔵量があるかもしれないとの予測がなされていること、さらに同様の技術を使うことで世界各国が新規に生産できる化石燃料の量を考えると、価格競争力だけに着目すれば他のどんなエネルギー源にも対抗できる可能性はごく少ないように思えます。いわんや原子力など、福島の経験もあって、長期的には忘れ去られてゆくのではないかとの予測さえ成り立ちそうです。

ただ、開発技術の進歩によって増産出来るようになるとは言え、CO2排出削減要求や地球温暖化対策という、過去の化石燃料開発案件とは異なった要求が必ずついてくると言う点には注意が必要になります。油景気に沸くのは悪いことではないと思うのですが、かつて世界の油田を闊歩したテキサスのオイルマンが復活するとしても、グリーンなオイルマンであることが求められるということですね。いみじくも4年前、オバマ大統領はグリーン産業の振興による雇用創出を訴えて初当選しましたが、最近このコトバはとんと聞かれなくなっています。経済合理性追求は結構なのですが、これ以上夏が暑くなるのは敵わないと思うので、是非そこのところをお忘れなく。