新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

海でも?

11月24日号のBanyanでは、海洋を巡るインドと中国の潜在的対立に関する分析記事が出ています。普通の感覚で世界地図を想像すると、「は?」と言いたくなる人もいるかもしれません。なぜなら両国は決して隣り合う海域を巡って直接対立するような位置関係にはないからです。でも。

中国は、あの通り東西に長い国なので、たとえば新疆ウイグル自治区への物流を考えると、パキスタン経由陸路を取る方が、天津や上海から輸送するよりも効率的だったりする場合がある訳ですね。そのせいもあって、中国はインド洋を囲む重要な港に拠点を構えています。パキスタン、スリランカ、バングラデシュそしてミャンマーにも。

他方、陸地ではインドと中国の間に長年の領土を巡る複数の対立があることは、日本のメディアでも知られているところだと思います。陸で対立する関係が、海では平和的なものに変わる保証などどこにもないことは、一寸考えれば判ると思います。

いずれも大国であり、経済的に伸長著しいことと併せて軍事的な整備を急ピッチで進めているあたりも似ています。事にインドはパキスタンとの潜在的対立があり、ある意味では中国以上に軍備への関心が高い国なわけで。

そう言う視点から、巷間良く報道されている陸での対立に比べて海はどうなのか、特にエネルギー輸入の大半がマラッカ海峡を経由しなくてはならない中国にとってインド洋が持つ意味は何なのかを検証しておくのは、複合的かつ立体的な視点を養う上で重要な議論だと思います。陸で発生する対立は、ある意味で当然、海でも起きうるわけですから、対応を考えて置く必要があるということですね。