新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

イカ4杯?

ネットで流れている12月1日号をざっと眺めています。

Leadersのトップは、IT業界の巨人たちが演じるバトルと今後の展開に関する解説記事です。
大変興味深いのは、The Economistが4強としているのが、Google, Apple, FacebookそしてAmazonで、Yahooはおろか、Microsoftすら問題にされていません(文中にさらりと触れられてはいますが)。これらの競争について言えば、GoogleAppleがスマホやタブレットを巡って真正面から対決しているのは良く知られたところですが、マーケット的にはAndroidが優勢、と言う状況のようですね。AmazonもKindleを出していますし、EコマースではAppleとも、そしてGoogleとも競合関係になって行くであろう流れは良く分かるのですが、それに加えてFacebookとは?The Economist曰く、「SNS市場はFacebookのもの」と言うことらしいのですが、市場の寡占化はそこまで進んでましたっけ?

多分まだ、twitterは元気だと思いますし、日本ではミクシィがあり、中国でもWeiboでしたっけ、ローカルなサービスは頑張っているわけで、更に言うとlinked-inのような分野特化のサービスもまだまだ可能性はあるように思うのですが、それらも含めてThe Economistの目には「大が小をのむ」近未来が見えている、と言わんばかりの書きぶりです。さらにThe Economist自身認めている市場の特性として、使うサイトを変えることなんて「クリックひとつでカンタンに」できるという敷居の低さは見逃すわけには行かないと思うのです。

何を言いたいかと言うと、4強による寡占化はありうるのかもしれませんが、それで市場が安定する訳ではないのではないか、ということですね。現在存在していない、しかしながら使いやすいサービスが出てきて、あっという間に市場を席巻する、と言うような変化はまだ生じうるのではないかと思っています。もっとも、これら4強をはじめとした栄枯盛衰のプレーヤーがいずれもアメリカ企業だと言うあたりについては、新しい「変化」を期待できる要素があるのかと言われれば若干懐疑的ではありますが。The Economistが描く「4杯のイカの縄張り争い」に割って入る新しいイカは、出るとしたらやはりアメリカからなのかなと、どうしてもそう思ってしまいます。

強固なビジネスインフラ、ITを巡る開発環境とビジネスの距離の近さ、技術動向に敏感なマーケット、そのどれをとってもアメリカが圧倒的な強さを持っていることは否定のしようもありません。アメリカ以外の国はと言うと、インドと中国は規模の経済を活かした下請、日本はゲーム開発、と言ったニッチ市場から先の活躍の場を広げられず、アメリカのダイナミズムに付いて行けていない現状は、しばらく変わらないのかなと思います。