新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

新 北欧モデル

ネットでは2月2日号が流れています。

Leadersの一本目は、最近経済の好調ぶりが目立つ北欧諸国について、その新しいモデルが機能している様子を興味深い内容とともに伝えてくれています。

まず、競争原理が社会の隅々にまで導入されていること、そして民営化への抵抗感が少ないこと。学校も公立と私立が競合する中で質的な改善を促し、公立病院を私企業が経営する等への敷居が低いことなど、自由主義的な政策が幅広く、しかも但し書きなしで行われていることが挙げられていますが、それと同じくらい目を引くのは、公務員の数が多いことです。OECD平均では国の15%程度が公務員だそうですが、北欧諸国は30%ということで、そのまま見ると非効率の原因ではないかと思われるところ、上に述べた競争原理が非効率排除に役だっていることが見て取れます。

さらに労働者の解雇がしやすいことに対して解雇された労働者への教育訓練や再就職支援が手厚いことなど、「どうやって経済を回すか」「どうやってムダをなくすか」にしっかりと視点を当てた経済運営がなされているモデルであることが見て取れます。

公共事業と円安も良いのですが、むしろこう言った構造的な取り組みこそが、長期の成果に繋がって行くのではないかと思います。社会主義的な政治がもたらした90年代の債務問題に苦しんだ時期から20年かけて北欧は自らを変えたわけで、だったら日本もやれない訳はないだろうと思うのですが、日本の場合、長期的な目標づくりや処方箋書きの点で、どうもいまひとつはっきりしないように感じています。