新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

$20,000,000,000,000

20兆ドル、という何やら意味不明の数字がタイトルになっているのは2月16日号のLeadersトップ記事ですが、そして今週号の特集記事はまさにこの話題ですが、これはタックスヘイブン、もしくは租税回避地の存在などにより、徴税権力が「取っぱぐれた」税金の金額ということのようです。

「文明は、その受益者が応分の負担を用意することによって成り立つ」という書き出しが物語るとおり、記事の、そしてThe Economistのスタンスは「税金は払えよ」なわけで、この考えは突き詰めると自由貿易の擁護者を自認する同紙の哲学とどこまで相容れるのかという議論にもなりかねないと思われるのですが、ま、とにかく税金は払うべきものだというところから議論はスタートします。しかしながら、タックスヘイブンの存在やそれを活用した節税が攻撃されることについてはいささかの疑問を呈しておりまして、その前にまず自国の税制の問題点を糺すべきであるとか、企業努力そのものは評価されなくてはならないと言ったトーンの書きぶりは、最終的に法律をどうするのかに収斂するのかなと思わせるものです(すみません、まだ特集記事を読んでないので)。

翻って日本はと言うと、「海外の子会社から送金される利益の課税を減らしましょうね」という税制改革が行われたにもかかわらず、「利益を日本に戻しても投資先がない」等の理由であまりおカネは戻ってきていないという話も聞きます。受益者としての企業、応分の負担としての税、それらを突き詰めて考えると、経済と税制は必ずしも「国」の存在を絶対視しない方が適切なシステムを設計しうるのではないかという発想に行き着くのではないかと。大変興味深いテーマではあるのですが、日本ではあまり聞かれない議論のような気もして、少し不安になります。