新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

そんなもんかね

3月2日号のAsiaには、安倍首相訪米に関する論評記事が出ています。意外、とも言えるほど日本に対して冷めた論調なのですが、主な点としては1)Japan is back、と言われるほど民主党時代の日米関係は悪くなかった→関係改善は演出である、2)日本抜きなら今年大筋が決まるであろうTPPは、日本が交渉に参加することであと2年はかかるだろう、そして3)全面的改憲が日本の戦争に対するスタンスを変えるようなことがあれば、日中関係は更に悪化する、それこそがアメリカが最も懸念することである、といったような内容です。

The Economistはイギリスの週刊誌ですから、ある意味で仕方ないのかもしれませんが、同紙が立ち位置としている自由貿易体制は、戦後のレジームを出発点として築き上げられたものなので、その範疇において日本はどうしても「敗戦国」(ドイツも同じですが)の立場から自由になることはできないということはあろうかと思います(そう考えると、ドイツがEUを盛り立てたい気持ちが理解できるような気がするのですが)。

いずれにしても、国内で安倍政権に期待されている日米関係の強化とは裏腹に、ずいぶんと冷めた見方が先方にはあるということについてはしっかりと認識しておく必要があろうと思われます。かつて小泉政権の時代にイラク侵攻を支持したような、明快な実績が示されれば別だと思うのですが、当分の間アメリカの見方は「お手並み拝見」という域を出ないような気がします。

日本にとってちょっといやらしいのは、イラク侵攻時のような「実績」に結び付けうる機会が、現在は極めて限られている、ということではないか言う気がするのですが、如何でしょうか。