新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

速いもの、遅いもの

3月2日号のFree exchangeは、急速に進歩するコンピューターおよびロボット工学と人間の役割分担についての記事で、この分野において世界の最先端を走る日本で報道されている内容とさして変わるところはないのですが、強いて言えばスーパーコンピューターが、ここ30年の内に圧倒的に小型化・高速化されたことについて、今更のように驚いた、ということくらいでしょうか。かつて部屋一つ分くらいあった機械が、いまやカバン一つくらいのサイズになったのだとか。

同じく、Science and technologyの最初の記事はソーラー飛行機の開発について書かれているのですが、こちらはそれほど進歩が早くないようです。太陽電池で電気を起こしてそれでプロペラを回して飛ぶ飛行機自体は、30年ほど前にも立派に人一人乗せて飛ぶことが出来たようなのですが、現代のそれは1)ジャンボジェット機なみの翼幅と、グライダーを思わせる細身の機体により、発電容量を大きくしつつ機体重量を小さく抑えている、2)バッテリー搭載により夜も飛べる、3)重量制限から、乗れるのはパイロット一人だけ。コックピットの座席で用足しもできるようになっている(どうやって?)、4)当然ながら重いものは運べない、5)速度は時速70キロくらい、6)離着陸には安定した気候が必要である、といった特徴と言うか制約条件があり、なかなか実用に供されるところまで技術開発が進んだと言う訳ではなさそうです。こちらの技術開発は、コンピューターやロボットに比べると、至極ゆっくりとしたものに見えます。

ソーラー飛行機について「こうなったら良いのにな」、的なイメージを言うと、スピードは速くなくても、道路に関係なくモノを輸送できるのは魅力なので、もう少し重いモノを運べるとか、短い滑走路で天気が悪くても離着陸できるとか、無人操縦が可能だとか、そういった方向性が出てくれば離島や内陸奥地などとの連絡に使えるような気がします。だったら飛行船のほうが気が利いている、という気もしなくはありませんが。