新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

貸して、借りて

3月9日号、Leadersのトップは、The rise of the sharing economyというタイトルで、インターネットを利用したモノの貸し借りビジネスのことが取り上げられています。部屋や車などの持ち主とユーザーが、使いたいときだけ・空いてるときだけの貸し借りを直接行うという、いわゆるピアツーピアの契約をネットで仲介する、という新しいビジネスモデルだそうなのですが、部屋を仲介するAirbnbというサービス会社など、欧米の経済が厳しかったここ数年でも右肩上がりの成長をしめしているのだとか。

従来の、たとえばホテルだとかレンタカー会社だとか言うビジネスは、どうしても自分が供給できる資源のみを、自分が獲得できる顧客にのみ販売すると言う点で、事業規模に限界が生じやすかったところ、このビジネスモデルだと「空いているモノを、使いたいヒトに」仲介するだけなので、裾野がぐっと広がりやすいという違いがあるようです。

このビジネスモデルのさらに面白いところは、仲介業者のみならず、貸し手としてもチャンスを広げられることだろうと思います。すなわち、人気のある商品を貸出専用に用意して、使いたいヒトのニーズに応えるというやり方で、おそらく既存のホテルやレンタカー会社が新たな成長機会を見出すとしたらこのようなパターンではないだろうかと思うのです。

ユーザーとしても、ピアツーピアで安く借りられる(たとえば個人が持っているアパートやクルマを空いている時だけ借りる)というメリットがあるわけで、貸し借りできるモノの種類も無限大に広がりを持ちうると言えます。

具体的には企業の福利厚生施設を平日社外に貸出しするとか、英語教師が「自分の空き時間」を個人レッスン用に「貸し出し」するなんていうバリエーションも出てくるのかもしれません。珍しい楽器や古書なども、ピアツーピアだとニーズの掘り起こしが期待できそうです。いわゆるロングテール効果ですね。

貴重なものを貸し出すときは多少プレミアもつくでしょうし、どうしても借りたい・貸したいものについては長距離の取引も出てくることだってあるでしょう。

そうすると、たとえば保険業界にとっても新たな商品開発のチャンスでしょうし、更には宅配便業界にとっても魅力的な事業機会と言えるようになるのではないかと思います。