新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

アメリカで進む学校改革

チャータースクール、について御存知と言う方は、アメリカの学校改革に多少のご関心をお持ちの方ではないかと思います。これは教育カリキュラムに先進的な試みを織り込んだ、民間提案型のいわば実験校を、公立学校として開設し、民間が委託を受けて運営するというもので、経営が上手く行けば存続し、上手く行かない場合は閉校して民間が債務を引き受けるのだそうですが、3月16日号の特集記事によると、全米50州のうち、今やこのシステムを導入していないのはわずか8州に止まるのだとか。

というわけで、今日はこの記事が伝えるアメリカの教育改革について少し見てみたいと思います。日本も「ゆとり教育」から「脱ゆとり」などと、試行錯誤を繰り返している分野ではありますが、記事が注目するのは幼稚園から始まる早期教育において、集中的に中国語を学ぶという事例があったり(アメリカで、ですよ)、すでに全米半数近くの州で、生徒の出来によって教師を評価するシステムが導入されたり、高校から職業教育を見据えた大学の単位取得ができるシステムがあったりと、本当に様々な取り組みがなされています。

その割に、学力の国際比較テストではアメリカが上位に入ったと言う話は聞かないのですが、The Economistによるとこの成績も少しずつ改善されてきているのだとか。

改革が上手く行かない背景には、生徒の出来不出来が自分の給料を左右するようなシステムを嫌う教員側の抵抗もあるのだろうと思いますし、必ずしも早期職業教育がその人の勉強の出来を左右する訳でもないというところもあると思います。たとえば「就職に必要な技術を提供しているか?」という問いにイエスと答える大学は8割以上だそうですが、新人が就職に足る技術を持っているかと言う問いにイエスと答える経営者は半分以下なのだとか。

記事全体を通じて感じるのは、大学院教育においては依然として世界をリードするアメリカが、初等中等教育については、ある意味で日本以上に、試行錯誤を繰り返していることのギャップがとても大きそうだということですかね。

「飛びぬけて成功する」分には心地よいアメリカ、ではありますが、「普通でいる」ことについてはどうかすると日本よりも難しい面があるのかもしれません。