新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

愛はお金では買えない

Can't buy me love、というビートルズの歌の題名を、日本語に訳するとしたら上のタイトルのようになると思うのですが、4月27日号のBanyanは、増大する貿易取引量に比べてファンが増えない中国に関する分析記事となっていまして、そのタイトルがCan't buy me soft power、となっていました。

ソフトパワーはお金では買えない。何のことかと思って読むと、中国の貿易投資は常に政治的な権益と強固に結びついていて、それが貿易投資を通じて相手国の経済を良くしたことへの感謝や敬意を薄めさせ、警戒や敵意を醸成することにつながっている、そのやり方ではどれだけ貿易投資額が取引相手の経済に貢献したとしても、純粋に商業的な行為として取引をしているんだと、相手に信じてもらうことは難しいだろう、という結論です。

尖閣諸島を巡り対立する中、全く関係ないレアアースの輸出を差し止めてみたり、ASEAN諸国の団結を、カンボジアを手先に使って乱してみたり、周囲から見れば「やり口が汚い」と取られることをほとんど意識していないとしか思いようのない所作なわけで。

他の先進国がどれだけ感謝や経緯を貿易投資によって勝ち得ているかについては必ずしも定説があるわけではないと思うのですが、最低限日本ブランドの商材は、その品質やサービスにより商業的には高い評価を(たとえ中国でも)受けてきたことと比較すれば、その差異は明らか、という部分は確かにあると思います。

中国はよく「中国は覇権を求めない」と声高に言いますが、それはすなわち周辺の国には気を遣わず、我欲に邁進する、ということの宣言と取ったほうが当たっているのかな、と感じます。だとしたら本当にあられもない話で、徳も仁義もあったものではないのですが、イギリス風にそれを言うと、Can't buy me soft power、というフレーズになる、ということなんでしょうね。