新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

薄利多売が求めるもの

4月27日号のBusinessには、ローコストキャリア(LCC)として日本ではあまりなじみのない北欧のNorwegian Air Shuttleという会社が、222機のボーイングおよびエアバスの新型機を購入する、という記事が出ています。飛行機なので、しかも新型とくれば、投資額は桁外れです。なんでまた?と思って記事を読んでわかったのですが、ある意味で当然のビジネスモデルとも言える「薄利多売」を追求するとこうなる、という見本みたいなお話でした。

すなわち、単価が安いので売り上げを上げるためにはそれだけ売らなくてはいけない、航空会社にとってたくさん売るためにはたくさん路線を持っていないとならない、そのためには飛行機がいる、というロジックですね。ちなみに同社が競争相手としているライアン・エアー(こちらについては名前を聞いたことくらいはある人が多いかと思いますが)が計画しているのは、ボーイング737型機175機の導入だそうです。

いずれも「規模の経済」を象徴する話で、かつてダイエーなど安売りスーパーがチェーンの拡大に走った考え方に近いものだと思います。そのうえで、Norwegian社が目指しているのは競合よりも燃費の良い飛行機の導入、ということだそうで、そのあたりに競争力の源泉を見出そうとしているわけですね。

翻って伝統的な航空会社は、相対的に従業員給与が高いことなどが収益性に影響を及ぼしていて、なかなか成長機会を見出せずにいるようですが、Norwegian社は収益体質もしっかりしているようで、伝統的な航空会社に見劣りしない給与を払っている割に、売り上げに対する経費率は低く抑えられているようです。このあたりも、薄利多売により収益を上げようとすれば必須の要件(少数精鋭のスタッフにしっかりと報いる)ということかと思うのですが、だとすると航空会社も、かつてのような花形業種から、やがてはトヨタの工場のようにリーンな存在(しかも強い)へと変わりつつある、ということかと思います。日本で頑張っているLCC各社も、基本的な姿勢はそんな感じですしね。