新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

興味深い分析

8月3日号のBanyanは、さきごろ中国で失脚した薄熙来・元重慶市書記について、その失脚が本格的であったことをようやくしっかりと伝える記事が出ています。同様の記事は日本のメディアではずいぶんと早くから目にしたような気がするのですが、この時期にBanyanがそれを書いたことについて、気が付いた点が二つありましたので、今日はそれについて。

一つ目は、この記事が先日のキッシンジャー江沢民会談を受けて書かれたものだというそのタイミングです。会談に関する報道は、どれも習近平政権のあり方を評価する江沢民氏のコメントをはっきりと伝えていますが、それが意味するところは世間を騒がせた薄元書記の扱いがケレン味を残すものでないことを裏付けた、というのがBanyanの読み解きかと思います。

今一つは、胡錦濤前主席の動向についての分析で、日本のメディアでは政権交代時にどのようにして前主席がその影響力を残すのか、というような推測があれこれ飛び交っていたようですが、ここに来て習政権は胡政権の残像から解き放たれてその基盤を確立させたように見える、とのBanyanの分析がどの程度正しいのか、ちょっと興味がありますね。

一つ目の点は、慎重かつ歴史の流れを重視するアングロサクソン的な分析として興味がありますし、だとしたら今一つの点も水面下では何がどうなっているのか、実に興味深い点ですね。何より中国共産党は、引退してもやっぱり長老が一番ポイントらしい、というあたりの認識について、The Economistの視点はブレてないあたりが、なるほどと思わされる記事でした。