新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

進む出版とネットの融合

8月17日号のBusinessには、デジタルメディアの隆盛と伝統的な媒体との関係についての記事が出ています。大筋は、もう10年も前から言われてきたニューメディア論と大差ないのですが、現実問題として活字からデジタルへという媒体の変化が起きている中での議論なので、細かい議論にまで目が行き届いた内容になっています。具体的にはデジタルか伝統媒体かという二者択一の議論ではなく、相互乗り入れによる新たな展開が始まっていることが指摘されています。

ネット上のコンテンツはCDや本に比べて単価は安いわけですが、売れ出すと一気にダウンロード(もしくはストリーミング)されるという特性があります。単価の低下とヒット作に関する購読者数の急激な増加は、ルーチンで仕事をするジャーナリストや安い著作権料に満足しなくてはいけない音楽家を苦しめ、ヒット作家にとってありがたい仕事環境になるだろうということ、また長年にわたって媒体側が蓄積してきた過去のアーカイブが取り出しやすくなり、新たな収益源となるであろうことなど、日本ではすでに現実となっている話でもあるわけですが。

その意味でもう一つ、The Economistが指摘していない点を挙げるとすると「素人のプロ化」が進むのではないかという点もあると思います。読者コメントにも、それを暗示するようなものはありますが、すでに素人が投稿者の主力となっている動画サイトなどの動きが「垣根の低下」を象徴しているように思うのですが。