新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

スイス銀行と言えども

9月7日号のFinance and economicsは、アメリカ政府とスイスのプライベートバンクとの間で進む預金者情報の開示に向けた交渉の状況を報告しています。それによると、アメリカ政府に対してアメリカによる徴税に関連する預金者情報を開示しない銀行はアメリカでの営業を認めてもらえなくなるとのことで、かつてナチスドイツの要求をすら退けたことで有名なスイスの銀行といえども抗するすべはなく、基本的にアメリカ政府の要求を受け入れることになるのではないかと思われます。

これはオバマ政権が進める富裕層向け課税強化策の流れに沿ったもの、とも言えそうですが、もしそうであるとするとコトはスイスの銀行にとどまらず、最終的には大西洋の英国領、香港・シンガポールそれにカリブ海諸国といった、いわゆる「租税回避地」を拠点とする大きなおカネの流れに対しても、同様の縛りがかかるようになるのではないかと思われます。いや、多分もうすでにある程度の縛りはかかっているのでしょうが、それがさらに厳しくなるということですかね。

自由な富の流れを保証してきたアメリカが、ついにそうでなくなる時代を迎えた。オバマ政権が持つ意味は、後世そんなふうに整理されるのかもしれません。