新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

米中関係を俯瞰すると

9月28日号のBanyanは、現在の米中関係について緊張の中にも相互に関係改善を模索している様子が見てとれます。王毅外相とケリー国務長官の対話の中で「敏感なことや同意できないことなど、話しづらいこともフランクに話し合うことで誤解が誤算につながることを防ぐ」という考え方が強調されているようですが、さまざまなすれ違いや埋めがたい問題を抱える二カ国の外交関係を改善するための考え方としては妥当なものだと思います。

また、以前は中国封じ込めを意識したものと見られていたTPPとともに、アメリカ主導で動いているサービス貿易に関する自由化の枠組みであるTiSA (Trade in Services Agreement)について中国は関心を示しているとのこと。対話を通じた関係改善を言う場合に、経済問題はやはり比重が高くなるということだろうと思います。

他方でネックになる各種問題は、シリア、北朝鮮、台湾そして尖閣諸島と、いずれも安全保障がらみの課題ということで、こちらから見ると旧態依然とした大国同士のかけひきであることもまたそのとおり、ということかと思います。防衛協力についても話し合いが進もうとしている中で、これらの課題についての突っ込んだ話し合いも、また交渉のテーブルに載るということなのかもしれません。

ほどなく減速を余儀なくされるだろう中国経済と、エネルギー分野で交渉力を高めたアメリカ経済との力関係が、おそらくはかなりのスピードを以て変化するなかで、両国が何をどのように整理しようとするのか、しばらくは興味深い時間が続きそうに思います。