新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ケースバイケース

11月16日号のBusinessには、Yahooの新しい社長さん(女性です)が信賞必罰式の人事体系を導入したことに対して、Microsoftはチームワークと協力を重視した評価体系(個人のパフォーマンスによるランク付けはしない)を取っていることを比べ、それぞれのあり方について興味深い分析をしてくれています。いわく、信賞必罰方式は法律事務所やコンサルティングファームなど、新人が伸びて最後はパートナーになるというようなシステムにおいて人材を選別するためには適している、とのお話で、さらには業態が違っても底辺にいる人材の活性化(もしくは除去?)については効果があるだろうとのこと。ただし、それはあくまで人材が停滞しているような場合についての話であり、何度も繰り返し評価と選別を続けると、それはかえって逆効果になるという考えを示しています。

社員もバカではないので、一つ間違うと社員間の結託と談合による粉飾など、かつてEnronで起こったようなトラブルすら起きかねない、という結論ですが、面白いのはアングロサクソンもまた、信賞必罰方式がよりよい管理方式だなどとは思っていないことが分かる点でしょうか。そうです。私が興味を覚えたのはこの議論が、望ましいのは何と言ってもチームワークと協力を重視した管理方式が「取れること」だという前提に立っているという点です。

そう考えると、いずこの会社もそうであった日本社会というのは、人事管理面から言えば大変恵まれた時代にあったということでしょうか。90年代以降、成果主義と言う名の信賞必罰方式が幅を利かせた時期もあったようですが、結局最近はその考え方が薄れてきているようにも思えます。ただ、The Economistの議論から何か学べるものがあるとすると、それは「企業の実態によって、信賞必罰方式が良いという場合もある」と言うことかと思います。日本式がどうの、欧米式がこうのという縦割り議論ではない、もっと何かケースバイケースで柔軟な議論ができるようにアタマを柔らかくしておきたい、ということですかね。