新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

22歳で憲法を書いた人

連休だということもあって、ゆっくりと紙版の1月12日号を眺めています。
ふつうはLeadersから読み進めるのですが、ぱらぱらとページをめくっていて、Obituaryにベアテ・シロタ・ゴードンさんの記事を見つけて思わず読んでしまいました。ウクライナ系ユダヤ人音楽家の娘でオーストリアで生まれ、父親の仕事の都合で日本で育ち、アメリカで大学生活を送り、たぐいまれな言語能力を買われてマッカーサー司令官の下で日本国憲法草案作成に関わり、男女平等を定めた日本国憲法24条に繋がる素案を、若干22歳で提案したという人です。昨年の12月30日にニューヨークで亡くなられたそうですが、気付いた範囲で言うと、日本のメディアは彼女の死をそれほど報じることはなかったように思います。

とある国の成り立ちに若い人の夢が託される、という事例はさほど多くないのではないかと思うのですが、だとすれば戦後日本の形成に彼女が果した役割やその結果として日本が手にした男女平等への指針は、人類史上稀に見るものであったと整理できるのではないかと思います。時あたかも安倍政権で女性政治家の登用が注目されている点は何か示唆的なものを感じます。

日本が新たな夢を手に入れた時代が、また一つ歴史になったということですかね。ご冥福をお祈り申し上げます。合掌。