新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

どこまで一緒?

1月26日号、一本目のBriefingはアルジェリアで起きたガスプラント襲撃事件の背景についてかなり詳しい情報が出ています(日本のメディアはこれをやらないんですよね。だから内向きだとか言われてしまうわけですが)。攻撃主体となった「北アフリカ・マグレブアルカイダ」(これまた日本のメディアは単に「アルカイダ」とだけ呼んでいますが)をアルカイダ本体とは区別して認識し、さらにサハラ地帯には「西アフリカ統一聖戦運動」だとか「アザワード解放運動」だとか「ボコ・ハラム」等の勢力が群雄割拠する状況であること、これらの勢力が歴史的に反政府でやってきたツアレグ族の動きに連なり、さらにイスラム教とキリスト教の長い対立関係とも絡んで、図式を複雑にしていることが見て取れます。彼らの意識や実際の移動について国境の存在はさほど意味をなさないこと、彼ら自身が密輸による経済活動という守るべき権益を抱えていること、また一部勢力にはマリにおけるフランスとの対立よりシリア情勢を優先させる動きもあったりと、よほど現地の事情に詳しくないと「敵が何を考えているか」を的確に把握することが大変難しい状況にあることが見て取れます。The Economistですらそんな具合ですから、日本のメディアがある意味で避けて通る話題となっていることについてはさもありなん、と言う感じですかね。

ただ、そうだとしても海外に展開するビジネスの安全を考える上で放っておくわけには行かない話だろうと思うのです。たとえばアルカイダ本体とこれら勢力の考え方や行動はどこまで一緒なのか?と言う視点である程度の距離感や位置関係を把握しておくことは無意味ではないだろうと思います。また更に湾岸諸国やパキスタンなどからどれくらいの物的支援が届いているのか、というような話についても。

これらはいずれも犠牲者を出してしまった日揮ではある程度取り組まれていた話ではないかと思うのですが、結果的に事件は起きてしまった、というあたりにやるせなさを感じます。そこから先は安全警備会社と言う名前の傭兵集団を、プロジェクトベースで雇うしかなくなるのでしょうか。国軍の警備に依存する「アルジェリア方式」が未だに有効だとするならば、それこそ偵察衛星による情報など、日本が提供できる予防的な情報を国軍に提供して活用してもらう、というような工夫もあり得ようかと思います。犠牲者のご冥福を念じつつ、これで幕引きとしない対応を期待したいと思います。