新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

古くて新しいデータストレージ

1月26日号のScience and technologyは、ヨーロッパで取り組まれている「DNAをデジタルデータの保管に使う」という研究について触れられています。なにせ遺伝子情報と言う巨大なデータを貯めて置くという仕組みでもあるDNAは、可能な情報取り込み量において圧倒的なキャパを持つのだそうで、1グラムのDNAには2.2ペタバイト(ちなみに現在、ビデオなどをあつかう最も先進的なハードディスク環境がペタバイトのレベルに来ていると思います)の情報が収納できるのだとか。さらに4種類のたんぱく質が関与していることから、0か1かという、機械でも読み取りミスを起こしやすい記録法ではなく、多少込み入った、但し確度の高いコーディングを採用することが可能だと言うこと、さらには人工的なデジタルメディアのライフサイクルが必ずしも長くない(フロッピーディスクやミニディスク、レーザーディスクは今やほとんど使われていませんよね)のに対して、DNAは数百万年もの間、同じシステムで「使われて」いるということなどが有利な点だそうです。もっとも良い点ばかりではなく、読み取りに時間がかかることや何と言ってもコストが高いことなど、克服されなければならない問題はいくつもあるようなのですが、仮に人工的なDNAが情報メディアとして使われるようになると、それだけ人体(脳細胞)に取り込みやすい形になって、受験勉強から解放されるような日が来るのかもしれません。今はSF的な話に過ぎないと思うのですが、研究が進んでいると言うだけに、タイムマシンよりは早く実現されるような気がします。