新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

起きるべきことが起きれば

1月11日号のUnited Statesは、新しく連邦準備制度理事会議長となったジャネット・イエレン女史が就任する段階のアメリカ経済について、基本的には楽観的観測につながるさまざまなデータを示しています。いわく、GDPが増えていること、いわく、増税財政支出削減が一巡し、財政面でも重しが外れること、いわく住宅投資における債務超過が減った分だけ持家を巡る財務状況が改善していることなど。グリーンスパン議長から好調な経済を引き継ぎ、実際にはリーマンショックや欧州危機などに直面せざるを得なかったバーナンキ議長とは対照的に、経済はまだ回復途上だが、データが示す未来は暗くない、というお話です。よく、「人は物事を自分の見たいようにしか見ない」と言われますが、このあたりはまさにその典型事例なのかもしれません。もしかして意図的に(?)示していないのかもしれない「雇用」あるいは「生産性」について、The Economistはラリー・サマーズ氏の言葉を借りる形で最後に少しだけ触れています、いわく「アメリカはもしかすると長期の停滞期に入ったのかもしれない」と。雇用や生産性はイエレン女史の守備範囲とは言えない話ですが、もしそこに光がさすようなら、アメリカ経済の先行き見通しは今以上に明るくなるということですね。