新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ロボットはこんなことにも

4月26日号のScience and technologyには、沖縄科学技術大学院大学(OIST)のステファン・エルフィング博士が研究した、ロボットによる個体同志の出会い(男と女)のシミュレーションに関する面白い記事が出ていました。博士は4体の同じ仕組みを持つロボットをもとに、80個体の社会でどのように出会いと再生産(結婚と出産)が行われるかをシミュレーションし、各ロボットが一生涯に下せる意思決定を1,200回と限定したうえで、コンピュータを使って1,000世代にわたるモデルを計算したそうです。エネルギーが十分な時に相手を探して遺伝子交換を行う、というのがそのプログラム、だそうです。出会いと充電はセンサーによる検知を基準に行われ、どのような行動をとるかはロボットに「判断」させる仕組みにしたのだとか。

そうすると、世代を経るごとに、遺伝子交換と再生産のための相手を探すことを優先しようとする個体と充電(言ってみれば食事)を優先しようとする個体が現れ、最終的にその比率は75%が相手を探すことを優先し、25%が食事を優先するようになるのだそうで。

1,000世代、というと、30年を一世代と見れば3万年くらいにあたるのでしょうか。地球上にホモサピエンスがに出現してから10万年くらい、という説を重んじれば今から7万年くらいまえの地球を表していると言えないこともないのですが、そのころは食事を優先する人の方が多かったのではないでしょうか?好きな時に充電できるロボットと違い、おそらく人間は食べるものを確保する方にエネルギーを使っていたのだろう、という想像のほうがホントらしく思えてしまいます。意外とそのころから「男と女の関係」のほうが重要だった、ということですかしら?

世界の科学者を集めて鳴り物入りで開学したOISTですが、こんな面白いこともやっていたんですね。今後の研究が実り多きものになりますことを。