新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

アメリカは果たして

5月3日号のLeadersそしてUnited Statesの冒頭記事は、シリア、ウクライナそしてアジアの各地で同盟国や紛争当事国に対するアメリカの態度をつぶさに分析することを通じて、はたしてアメリカは紛争勃発に伴う同盟国への防衛義務を果たすのか?という議論を展開しています。

この問題は、日本も尖閣諸島をめぐる中国との対立により、しっかり当事国として関与する立場にあるわけですが、記事はまた日本の外交筋が語った話として「アメリカを信じていない」との言も引用されているのですが、確かにどんな状況でも単純に守る・守られるという関係であるとまでは想定しにくいのではないかと思われます。大変想定しにくい状況ではありますが、あきらかな日本側のミスで中国側に大きな損害を及ぼしたような場合(たとえば先方の船が沈んで多くの乗務員が海に投げ出される、といった)に、大勢の中国軍人が避難のために尖閣諸島に上陸したとして、アメリカはこれを排除してくれるかと言えば、そこまではよくわからないのだろうと思います。

最終的に記事が注目しているのは既存の軍事力バランスおよびアメリカを支持する国の数であり、対抗勢力(たとえばロシアや中国)が代替的な安全保障システムを持っていない現状です。現状ではアメリカの存在を尊重しつつ、やれることをしっかりやってゆくしかないのが日本の置かれた立場、ということなのだろうと思います。