新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

海外直接投資の属性

5月10日号のBusinessは、政治的混乱が続くエジプトに、しかしながら堅調に流れ込む外資とその繁栄ぶりについて紹介しています。

アラブの春」による非軍事政権は結局長続きせず、今月行われる大統領選挙では軍との関係が強いアル・シシ元将軍が最も有力な候補と言われている同国ですが、爆弾テロは相次ぎ、観光業への打撃は深刻で、頻発するデモもあり、一見とても外国投資の恩恵を受けていなさそうに見えるのですが。

実体は、政治的不安定さを承知の上で、9千万人の人口を抱える同国を魅力的な市場と捉えた外資の進出が相次いでいるのだそうで、P&GやIKEAなど、旺盛な民需に支えられた民生品関連企業が頑張っているのだそうです。カルフールも全国で20店舗以上を展開しているということで、政治的に安定すればさらに魅力的な市場となることは疑いの余地がなさそうに見えます。

実際にはそこまで単純な話ではなく、国内産業育成の目途が立たない中で、消費需要は満たされなければならないという間隙を突いた外資の活躍と見ることもできるわけで、何も安定していればそれで良いというわけではない「ビジネスチャンス」の実態を、エジプトの例にも見ることができるように思います。

安定した市場にそれから出て行ってもそれなりのシェアは取れるので、市場がどっしりと安定するまで動かない、と言ったような企業行動が一般的だった日本の大手企業とは違って、世界的には変化に対応して機敏に利益をあげようとする事例もまたごく普通のビジネスモデルだということを、この記事は教えてくれているように思います。