新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

アジアの、本格的な台頭について

5月31日号のLeadersトップ記事および特集記事は、アジアの大企業が本格的な攻勢を取りはじめることについての分析で、期待と警戒が入り混じった言葉が並んでいます。中国をはじめとして、これまで続いた高度成長時代が一段落し、労働集約型事業における投資効率の高止まりを見るに及んで、生産性を重視した研究開発へと取り組みを拡大しようとしている、と言う分析です。

若干事実誤認があるように思われるのは、日本と韓国について、トヨタとサムソンくらいしか該当する世界の舞台を支配できていない、みたいな書き方があるのですが、日本の産業集積はそんなもんじゃないので、まあ何を以てそう論じるかですが、全体を通じて感じるのは「アジアは一つではない」ことへの洞察がいささか弱いのではないかと言うことですね。

どうしてそうなるかというと、The Economistと言えども(あるいは同誌なればこそ)西欧とアジアの精神性について、たとえば日中間のそれには比較にならないほどの差異を感じているからだ、ということなのかなあと感じています。すなわち、たとえば日本とヨーロッパ諸国との違いに比べると、アジアの国同士の方が近いと。素直に同意できることばかりではないのは、日本とイギリスの視点の違いによるものなのかもしれません。