新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

平民の男のファンファーレ

7月26日号は、マレーシア航空機撃墜事件を巡り、ロシアに対する疑問や意見記事などが目立つのですが、Leadersの2番目にはインドネシア大統領選挙で当選したジョコ・ウィドド氏についての期待感を示す記事が載っています。必ずしも民主主義が有効に機能してきたとはいえないアジアのイスラム教国で、しかしながら今回は見事に民主主義の勝利であったことを手放しで評価しつつ、反面でこれから求められる行政改革、インフラ整備、環境対策その他、山積する重要課題の数々をどのようにこなしてゆくか、道は平たんではないことにも触れています。

さて、インドネシアで民主的に選ばれた平民出身の大統領が出たことを、日本はどのようにとらえれば良いのでしょうか?過去数十年にわたり、インドネシア東南アジアにおいて、日本の幅広く深い海外直接投資の受け皿であったことは間違いないと思います。しかしながら、民族性の違いや投資環境改善の遅れなどが災いして、必ずしも東南アジアで最善の投資先であったかというと、そういうわけでもなかっただろうと思います。

期待があるとすれば、それはやはり行政改革であり、腐敗根絶であり、知的財産権の正当な保護であり、さまざまに語られるインドネシアのむつかしさをすこしでも緩和してくれること、そして長期的には民主主義が本来的に持つ自浄作用メカニズムがきちんと働くような国にしてほしい、ということくらいでしょうか。

これまでも、東南アジアでは民衆の期待を背負った指導者が選挙で選ばれた例はあったわけですが、それは必ずしも国を良い方向へ導くことにならなかったように認識しています(フィリピンのエストラダ大統領、タイのタクシン首相)。ウィドド新大統領には、これらの例を踏襲することなく、しっかりとリーダーシップを発揮していただきたいものだと思います。